「雨に濡らすな」と聞いてピンとくる人、少ないかもしれない。
1988年8月の創刊に続いて12月に発行されたCalマガジンVol.2で紹介されていた’55 Chevy 210につけられていたコピーです。
前オーナーが愛車を手放す時に「くれぐれも雨に濡らさないよう、気をつけてくれ」と言ったのだそう。
当時、私は18歳。高校生の分際でビートル乗り回していた頃。
この「雨に濡らすな」というコピーは当時の私には非常に印象深く、今でも時折頭の中に浮かびます。
スーパーカーブームに端を発して子供の頃からクルマやバイクが好きではあったけれど、いざクルマを持ってみてもガレージに愛車を収めるなんてのは夢のまた夢。ビートルは近所の駐車場に青空駐車で当然雨にも濡れるし冬になれば雪が積もる。でもそれが当たり前だったし、バイクに比べりゃ乗ってる分には雨に濡れることもないわけだから、クルマが濡れることに対して特に意識するなんてことはなかったんですね。
そこへあの「雨に濡らすな」という言葉。
それまで私の中になかった雨に濡れることを「気にする」という概念を知り、ショーカーとはそういうものなんだということを知ったのでした。
その後、カーショーにエントリーする先輩方が入場前に一所懸命にクルマを磨く姿を見たり、ワックスはコンパウンドレスのシュアラスターを使うとか、ボディはカサカサでも最低限ガラスとホイール・タイヤだけはキレイにするとか、単に乗るだけのクルマとは違うんだということを学んでいきました。まぁ、学んだ割には今のOVALキタナイんですけどね(汗)
イベントに行って並んでるクルマを見ると、クルマがキタナイままだったり、車内にゴミ袋や飲みかけのジュースが丸見えだったり、後付ナビやドリンクホルダーなどの生活臭漂うアイテム満載だったり、あまり見せることを意識していないクルマがまだまだ多かったりします。それが悪いとまでは言わないけれど、センスや技術が向上してもショーカーに対しての意識は本場レベルに遠く及ばないんだなぁと思うと同時に、頭の中に浮かぶ「雨に濡らすな」というキーワードが自分自身を戒めます。
今日は雨空を見ながらそんなことを考えていました。
しっかり覚えてます。
濡らさないように維持できるかな~。
途中で雨降ったらどうしようかな~。
なんて、買えもしないのに考えてた小僧時代。
創刊号からCalマガジンがバイブルだった世代はやっぱ憶えてるんですね。
あの頃は夢ばかり見ていたような気がします。
ホットロッドカスタムショーに行くと夢の世界が現実に目の前に広がっていて大人になってもまだ夢見てばっかりです(笑)