デザイン力の失墜

クルマのエクステリアデザインというのは非常に個々の好みが分かれるもので、ある人がカッコいいと思ってもある人にはカッコ悪いと感じられたり、逆もまた然りなものです。

その上で多くの人にカッコいいと感じてもらえるデザインをするというのは非常に難しいもので、それにこの世の中にはクルマはどんどん生み出されていくし、過去の歴史もあるわけで、誰かのパクリと思われてはいけないし、多くのデザイナーは過去になかった斬新なデザインを追い求めていくものかもしれません。

しかし、これは個人的に感じてることなので他の方には当てはまらないかもしれませんが、なんだか個性や独創性を追い求めるばかりで単純に「カッコいい」というデザインから離れていってしまってるクルマも少なくないとここ何年かで感じています。

正直、このクルマカッコいい!と思えるクルマ、現行の各社ラインナップの中にはほぼないですよね。

逆に「どうしてこんなにしちゃったんだろう」と残念な気持ちになることも多々。

最近、17年ぶりに復活したという某スポーツモデルがお披露目されましたよね。コンセプトモデルの段階でも個人的にはあまり好きなデザインではなかったものの、それなりにアグレッシブさもあって、スーパースポーツとして世に出すならあれくらいの押しの強さは必要かなと思う面もあったのが、最終的に出来上がった市販バージョンは全体的なフォルムはプロトタイプを継承しつつもプロポーションはゲテモノレベルに劣化してしまっていました。仮にも5万ドルで売ろうとしているクルマでアレはないでしょう。

スポーツモデルならパワーやハンドリングなども重要でしょうが、何より「カッコいい!」と思えるビジュアルは必須じゃないかと思うんですよね。

カスタムにおいても思い付くアイディアを詰め込みまくったラディカルなカスタムが必ずしもCoolとは限らないのと同じで、むしろ盛り込みたいアイディアを少しガマンしてシンプルにした方が結果的にカッコよくなることが多いのはクルマ好きなら皆さん知ってるハズ。

デザイナーさんには申し訳ないけど、原点に帰ってカッコいいデザインを作り出してほしいと願う今日この頃でした。