トヨタ・コースター

昨年暮れにトヨタのマイクロバス「コースター」がフルモデルチェンジというニュースがあり、今月23日よりリリース開始となったようです。

このブログを読んでる方はクルマ好きの方が多いかもしれませんが、マイクロバスにはあんまり興味がないですかねぇ(笑)

私が20代の頃、特装車両架装の会社に設計として何年か努めておりまして、そこではコースターと日野ブランドOEMのリエッセⅡをベースにした移動販売車とか移動図書館車とか霊柩車とか健康診断系の車両とか、色んな特装車両を何台も作ってきたこともあって、コースターには結構思い入れがあるんです。

私が入社した頃はちょうど先代にモデルチェンジしたタイミングで、過去に架装したコースターの修理や改装で先々代のコースターが入庫することは稀にありましたけど、関わったのはほぼ先代コースター。

これが先代コースター。

コースターってピンと来ない方も写真を見れば「あぁ、あれかぁ」と思うはず。

ちなみに先々代のコースターはこんなの。

生産されてたのが1982~1992年なのでさすがに最近はあまり見かけません。

少し前は田舎の温泉旅館とかスキー場なんかが送迎用に永らく現役で使ってるコースターがあったりしましたが、最終型でも25年前ですからもうかなり数は少ないんじゃないでしょうか。

当時、入庫してくる先々代コースターは使い古されたものばかりで、参考に昔の図面を漁っててたらたまに先々代の図面が出てくることがありましたけど、手書きな上に紙が焼けてたりするもんですから、あらゆる面で「古臭い」という印象しかありません。

しかし先代コースターは先々代と打って変わってとってもスタイリッシュ。フロントフェイスはハンサムだし、フラッシュサーフェスされた窓ガラスも未来的。架装のベースとなるマイクロバスはコースター以外にも日産のシビリアン、三菱のローザも使われてましたけど、シビリアンもローザも顔がイケメンじゃないので(笑)、私はあんまり好きじゃありませんでした。その好みは仕事にも表れていて、コースターベースの車両は不必要に超細かいところまでディティールを書き込んだりしてたのが、シビリアンとローザはどちらかと言えばやっつけ仕事的な感じ。やっぱり仕事とは言え、カッコいいクルマは図面もカッコよく書きたいものなのですよ。まぁプロの意識としてはどうかと思いますが。

コースターをローダウンしたらカッコいいのにな~なんて結構本気で考えてたりしたもんです。

 

で、今回モデルチェンジとなった新型コースターがこれ。

 

悪くはないけど、思い入れが強いせいか個人的には先代の方がハンサムに思います。

まぁ最近のトヨタの乗用車デザインの悪さを考えたらまだマトモなレベルかも。

今回のモデルチェンジのキモはエクステリアデザインの刷新もさることながら、ボディ骨格の強度アップも目玉。

 

ルーフ~サイド~フロアをぐるっと環状に繋いだ一体化した骨格を採用することで、世界基準のロールオーバー性能を確保。

特装車両の設計視線で見ると、側面をガバッと切り開いちゃうケースの車両ではこの骨格がめんどくさいかも。モノコックじゃなくフレーム車なのであまり影響はないかもしれないけど、ボディ強度を無視していいって話じゃないですしね。

その他、横滑り防止装置(VSC)の採用や乗用車では当たり前のエアバッグの標準装備など、主に安全面を重点的に改良されているのがわかります。

最近はバスの重大事故が多いので、そういう背景も新型開発にはあったのかもしれません。

 

両親が亡くなった時、火葬場まで行くのに自分が設計したコースターベースの霊柩車に乗ったんですが、自分が死んだ時には新型ベースの霊柩車に仏として乗るのかなーなんて思ってしまいました。

コースターなら新型でもいいけど、ローザベースには乗りたくないなぁ(笑)