7月14日、オンライン上で発表された「SPORTSTER S」
少し前から新モデルにスポーツスターの名が引き継がれるというのは小耳に挟んではいました。これまでのエボスポが生産終了間近で特に人気のフォーティエイトはアホみたいに高騰してるというのも聞いていました。今、我々はスポーツスター史における転換点に立っているということですね。
クルマでもバイクでも、もはや作りたいモデルを作って好き勝手に乗るという時代は終わりを告げようとしています。乗り物としての楽しさや魅力よりもまずはクリアしなければ世に出せないレギュレーションがあって、それに反するメーカーは生きることを許されません。作り手・乗り手の想いだけではどうにもならないんですよね。なので、どんな形であれ時代に合わせて変わっていくのはメーカーとして向き合わなきゃいけないことだし、我々にそれを否定する資格はありません。
ただ・・・・・
このスポーツスターSをスポーツスターと呼ぶことに抵抗を感じる人は決して少なくないでしょう。空冷OHV・45度Vツイン・4カムというスポーツスターのアイデンティティとも呼べるエンジンから、パン・アメリカにも使われている水冷DOHC60度Vツインというスペックにガラリと変わったことで、名前は引き継がれてもそこにスポーツスターのDNAを感じることは少し難しいのが正直なところ。むしろフレームはまったく違うけど同じエンジンを使っていたビューエルの方がスポ乗りとしては親近感を覚えるでしょう。
クラシックMINIに対してのBMW MINI、空冷ビートルに対してのニュービートルやザ・ビートルのような、雰囲気は引き継いでも全然別物じゃん!というコレジャナイ感。スポーツスターという名前が残ったという嬉しさはまったくなく、いっそのことスポーツスターという名前は永遠に封印して、名前も含めてまったく新しいモデルとして出した方がすんなり受け入れられるんじゃ?という気もします。
これ、スポ乗りの方、共感するかなぁ?
しかし、スポーツスターの後継ということを抜きにして、純粋に新しいモデルとして見た時にはそんなに悪くないとは思います。
最近のハーレーダビッドソンらしいマッシブなデザイン、ダートラシートのようなソロシートと2本出しのアップマフラーは最近のカスタムモデルに通じる大胆さと同時に、そこはやはりスポーツスターとしてのイメージを入れ込んできたなという狙いもわかるし、2021年的解釈でのハーレーダビッドソンらしさはうまく表現できていると思います。うん、見た目は素直にカッコいいと思いますよ。
エンジンに関しては水冷の時点で私個人の興味はあまりないにしても、ハーレーの作るDOHCエンジンってどんな感じなんだろうという試乗レベルでの興味はあります。マフラーこの位置にレイアウトして熱くないのかなぁ?
あとは実際に市場がどう受け止めるか。
かつてHD渾身の力作としてデビューしたV-RODが大コケしたのはずいぶん昔の話ですが、時代が変わっても世界中でHDを愛する人たちの価値観ってそんなに変わってないと思うんですけどね。少なくとも現時点で大ヒットする予感はまったくないし、ラバーマウントの方たちも含め、旧来のスポーツスターオーナーの乗り換え対象にはならないと思います。地道に10年スパンで普及させていくとか?その頃にはライブワイヤーがメインになってるかもしれませんしねぇ。
ま、私は自分のスポーツスターを大事に乗るのみ、です。