長らく国内ではVitzと呼ばれていたのが今月予定のフルモデルチェンジから海外での名称「YARIS」に統一されることになり、正直あんまり興味を引かれるモデルではないのでその辺りはどうでもよかったりするんですが、YARISをベースにしたWRCホモロゲーションモデル「GR YARIS」が近年ないレベルで熱いのでそこにはちょっと引かれました。
通常モデルのYARIS(Vitz)は普通のコンパクトカー。取り立てて特別な個性がある感じではないベーシックなモデルです。それがGR YARISになるといきなりハンパない。エンジンはベーシックなYARISと同じく直列3気筒なのに、排気量は1600ccに直噴ターボの組み合わせでベーシックモデルとは雲泥の差である最高出力200kW(272PS)、最大トルク370N・m(37.3kgf・m)というバケモノみたいなハイパワーを絞り出します。ノーマルのガソリン1500ccYARISが120PSですから倍以上ですよ。コンパクトカーの中でもスポーティと言われているスズキのスイフトスポーツでも140PSですから完全に次元が違います。駆動はGR-FOURと呼ばれる新開発のスポーツ4WDシステムで、正にWRCベースカーと呼べる充実した内容になっています。
最近こういうの、なかったですよね。
国内外共に大排気量のハイパースポーツ車は少なからずあっても、市販コンパクトカーベースのホットモデルって以前に比べて出てこなくなりました。一昔前は例えばシビックやインテグラのTYPE-Rとかスターレットターボとかアルトワークスとか比較的小さいモデルで過激なのがそこそこあったんですけどね。時代はすっかりミニバンorエコカーorSUVばっかりで、走りに振ったクルマが少なくなりました。
そこへ出てきたGR YARISはいいか悪いかという話の前にこの時代によく出したなという点を素直に評価したい。
まぁこれだけの内容なのでお値段もなかなかのものでおいそれと手が出せる気軽さはないですけど、先月からスタートした先行予約では2週間で2000台のオーダーが入ったそうなので、こういうの求めてた方は案外多いんでしょうね。
昔のトヨタは最大公約数的なクルマばっかり作ってるつまんないメーカーって側面が強かったもんですけど、もしかしたら今一番熱い国産メーカーはトヨタなのかもしれません。