Intelligent Valve Actuation

少し前に見た気になった記事。

ガソリンエンジンを革新する――電制モーターでバルブを駆動する電動デスモドロミックシステム「IVA」

 

言わずもがな内燃機関においてバルブトレインはエネルギーロスの要因となる1つ。バルブスプリングを触ったことがある人ならバルブ開閉に使われる力は相当なものだとわかりますよね。触ったことない人でもエアコンがONになるとパワー食われるのは体感したことあるはず、エンジンが駆動する補機類があると無いとでかなりの差が生じるわけで、アレと似たようなものです。ドゥカティが採用するデスモドロミックもバルブスプリングを廃したシステムですがカムはエンジンの力を利用してますので、IVAではカム駆動すら必要なくなり、全てのバルブトレインが電子制御に置き換えられればその分のロスが無くなり、無くなった分はそのままパワーアップや燃費向上に活かすことができます。

しかも電子制御であれば従来のカムプロフィールに依存せず、バルブタイミングやリフト量まで自動制御できるわけですから、通常は燃費優先のエコモード、サーキットではパフォーマンス重視のパワーモードに切り替えたりと、機械的なバルブトレインでは難しかったエンジン制御も可能になります。さらにIVA専用エンジンをゼロから開発する必要もなく、IVAに対応したヘッドを開発すれば既存のエンジンに組み込むことも可能。

なんか、夢みたいなシステムですね。

考えられる問題点としてはシステム自体の大きさでしょうか。DOHCヘッドよりも更にヘッドが大きくなりそうなので、図のようなレイアウトだと既存エンジンへ転用する場合はエンジンルームに収まりきらない可能性も。空冷VWのOHVにも理論的には流用できそうですが、あの図のレイアウトではヘッドが大きくなり過ぎて絶対ムリでしょう。エンジン下のプッシュロッドと置き換えてロッカーアームを介して駆動するような形なら収められるかな?IVAに加えてフューエルインジェクションも組み合わせればローテクなOHVが一気にハイテクになって面白いかも。ハイチューンエンジンのバルブ廻りトラブルも相当低減できそうだし。

さすがにコンパクトさが求められるバイクのエンジンだと厳しいでしょうかねぇ。

ここまで電子制御が進んだらもはや内燃機関にこだわらずモーターでよくね?って気がしなくもないですが、内燃機関には内燃機関の良さがありますから、こういったテクノロジーに興味は尽きません。